【ベアドッグ繁殖プロジェクト】 タマと過ごした最後の夜 ~第1子誕生~
今日で子犬たちが産まれて7日目です。
私の目の前には藁納屋でお腹一杯にお乳を飲んだ子犬たちがタマの周りですやすやと眠っています。温かな藁のベッドで満足げな顔で眠る彼らの姿は天使のようで、この至福の空間はまるで天国です。

しかし、出産直前に今からは想像もできないような緊張した空気がこの小屋に漂いました。
私は、産後の子犬の管理がしやすい産箱を小屋の中に準備しました。そして、安心して出産できるようにタマと2ヶ月前からここに暮らしてきました。タマも小屋での暮らしや産箱にも充分になれたので、このまま産箱で出産の時を迎えるはずでした。

3月29日、タマには体温低下、排泄頻度の上昇、息切れ、食欲不振、巣作り行動をする等、出産間近の行動が出揃いました。こうなってくると、破水や陣痛も間近で24時間以内に出産があると言われています。
しかし、それ以降はなかなか進展がなく、時間だけがすぎていきました。
結局、2日目を過ぎても様子がかわりません。私もその間ほとんど寝ていなかったので、だんだん疲れと焦りがでてきていました。

3月31日14:00頃、タマの様子が急変し、産箱から出たそうな素振りをしきりに見せます。しかし、私は「産箱で産んで欲しい」という気持ちからタマに「ここで産むんだよ、ここで破水していいんだよ」と撫でながら、産箱に滞在させていました。
それから2時間が経過した16:00頃、タマの表情がさらに不安げになり、とても外に出たがったので、一度、屋外に出すことにしました。そうしたところ、大慌てで産箱から飛び出し、何と野外で走りながら破水したのです。
私は焦りました。「これはまずい」と思い、タマに「戻ってこい」と声を掛けると、タマも大急ぎで小屋に戻ってきて、藁納屋に駆け込みました。
恐らくタマはこれまで経験したことのない体の中に迫りくる大きな容態の異変による不安と、破水により産箱を汚したくないという苦痛に耐えていたのだと思います。
その後、タマはしばらくパニック状態で、藁をかきむしり、巣作りをしているのか、暴れているのかわからないような感じでした。
「とにかく落ち着かせないと陣痛も来ない」と思い、私はタマをやさしく撫でて、声をかけてなだめ続けました。それでもしばらくタマは興奮状態でしたが、少しずつ落ち着き、深い眠りについてしまいました。
しばらくタマと一緒に藁納屋でとても安らかで静粛な時間(とき)を過ごしました。
そして、2~3時間過ぎた頃でしょうか...
これまでのドタバタが嘘のように、タマはすっと立ち上がり、非常に落ち着いて、いきみ始めました。
そして、それから数十分後の22時37分、
とても明るい満月の光が小屋を映し出す静かな夜に、タマはようやく待望の第一子を出産しました。

狭くて暗い藁納屋はとてもデリケートで、野性味の強いタマならではの自然状態に近い出産場所だったと今更ながら思う一方、タマが産箱から「出たい」という意思表示をしていたにもかかわらず、自分自身の決めつけから、出産直前のタマにそこで大きなストレスを与えてしまったことをとても後悔しています。
しかし、その後、タマと一緒に藁の上で過ごした静粛の時間と、第1子の出産の瞬間を迎えたタマとの最後の夜は一生忘れることはないでしょう。
私はこの記念すべき第1子に、リオくんとの交配と今回の出産のときに、いつもそばにあった満月にあやかり「マル」 と名付けて育てることにしたのでした。

次回は、この後に産まれてきた「マル」の5頭の兄弟姉妹の出産秘話と名前についてお話します。
お楽しみに!
ピッキオ・ベアドッグハンドラー
田中
===============================================
「ベアドッグ繁殖プロジェクト」は、個人や企業・団体など、
多くの皆さまのご支援により行われます。
● 東京カス環境おうえん基金
● パタゴニア環境助成金プログラム
私の目の前には藁納屋でお腹一杯にお乳を飲んだ子犬たちがタマの周りですやすやと眠っています。温かな藁のベッドで満足げな顔で眠る彼らの姿は天使のようで、この至福の空間はまるで天国です。

しかし、出産直前に今からは想像もできないような緊張した空気がこの小屋に漂いました。
私は、産後の子犬の管理がしやすい産箱を小屋の中に準備しました。そして、安心して出産できるようにタマと2ヶ月前からここに暮らしてきました。タマも小屋での暮らしや産箱にも充分になれたので、このまま産箱で出産の時を迎えるはずでした。

3月29日、タマには体温低下、排泄頻度の上昇、息切れ、食欲不振、巣作り行動をする等、出産間近の行動が出揃いました。こうなってくると、破水や陣痛も間近で24時間以内に出産があると言われています。
しかし、それ以降はなかなか進展がなく、時間だけがすぎていきました。
結局、2日目を過ぎても様子がかわりません。私もその間ほとんど寝ていなかったので、だんだん疲れと焦りがでてきていました。

3月31日14:00頃、タマの様子が急変し、産箱から出たそうな素振りをしきりに見せます。しかし、私は「産箱で産んで欲しい」という気持ちからタマに「ここで産むんだよ、ここで破水していいんだよ」と撫でながら、産箱に滞在させていました。
それから2時間が経過した16:00頃、タマの表情がさらに不安げになり、とても外に出たがったので、一度、屋外に出すことにしました。そうしたところ、大慌てで産箱から飛び出し、何と野外で走りながら破水したのです。
私は焦りました。「これはまずい」と思い、タマに「戻ってこい」と声を掛けると、タマも大急ぎで小屋に戻ってきて、藁納屋に駆け込みました。
恐らくタマはこれまで経験したことのない体の中に迫りくる大きな容態の異変による不安と、破水により産箱を汚したくないという苦痛に耐えていたのだと思います。
その後、タマはしばらくパニック状態で、藁をかきむしり、巣作りをしているのか、暴れているのかわからないような感じでした。
「とにかく落ち着かせないと陣痛も来ない」と思い、私はタマをやさしく撫でて、声をかけてなだめ続けました。それでもしばらくタマは興奮状態でしたが、少しずつ落ち着き、深い眠りについてしまいました。
しばらくタマと一緒に藁納屋でとても安らかで静粛な時間(とき)を過ごしました。
そして、2~3時間過ぎた頃でしょうか...
これまでのドタバタが嘘のように、タマはすっと立ち上がり、非常に落ち着いて、いきみ始めました。
そして、それから数十分後の22時37分、
とても明るい満月の光が小屋を映し出す静かな夜に、タマはようやく待望の第一子を出産しました。

狭くて暗い藁納屋はとてもデリケートで、野性味の強いタマならではの自然状態に近い出産場所だったと今更ながら思う一方、タマが産箱から「出たい」という意思表示をしていたにもかかわらず、自分自身の決めつけから、出産直前のタマにそこで大きなストレスを与えてしまったことをとても後悔しています。
しかし、その後、タマと一緒に藁の上で過ごした静粛の時間と、第1子の出産の瞬間を迎えたタマとの最後の夜は一生忘れることはないでしょう。
私はこの記念すべき第1子に、リオくんとの交配と今回の出産のときに、いつもそばにあった満月にあやかり「マル」 と名付けて育てることにしたのでした。

次回は、この後に産まれてきた「マル」の5頭の兄弟姉妹の出産秘話と名前についてお話します。
お楽しみに!
ピッキオ・ベアドッグハンドラー
田中
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● 東京カス環境おうえん基金
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