クマは手の甲をお皿にしていた!~動物園での撮影秘話~

今年、ピッキオでは東京ガスおうえん基金の支援を受け、子供たちが人と野生動物の係わり方について五感で学ぶことができる教材開発に取り組んでいます。

その中で、野生のクマでは撮影しにくいリアルなクマの行動の撮影にトライしていることは以前のブログでご報告しました。

10月から撮影が始まり、私は軽井沢から茶臼山動物園のテツとミヤのもとに毎週通っています。

この際、私自身も今まで疑問に思っていたクマの生態をテストしています。
そして、いろいろな興味深いシーンが撮影できています。

まず最初にテストしたのは、
クマのイガ付の栗の食べ方。痛くないのかな?
そんな疑問が皆さんもあるでしょう。

なんとクマは匂いでイガの割れ目を探し当て、片方の手のひらでイガを抑え、もう片方の手の爪をわずかな隙間にかけ、イガを上手にパカッとわりました。

クマの手のひらの厚くて硬い皮膚は、私も何度も触れたことがあるので、「あ~やっぱりあの手ひらは栗のイガも大丈夫なんだ。」と納得。口には決して入れませんでした。やはり痛いのでしょう。

しかし、驚きはここから。

彼らは手の甲をなんとお皿に使っていたのです。

写真でもお分かりいただけると思いますが、栗を口の中で半分に割り、半分は口の外に出します。
それを手の甲に乗せているのです。

クリ採食

恐らく野生のクマが樹上で栗を食べる際も、こんな感じで地面に落とさないように食べているんでしょう。また、クマが木の枝を折った際にできるクマ棚は、クマが座るだけではなく、毬を剥ぐテーブルになっているような気がします。

私がいつも山で見るのは、こんな食べあとだけです。

野生ぐま栗食痕

これまで想像の域であった本当のクマの姿を、彼らに教えてもらっています。

これ以外にも、テツとミヤは私が想像していた以上の行動を見せてくれています。

どうやって狭い隙間をくぐるのか?
どうやって自分の体よりも大きな丸太を動かすのか?
蛇が嫌いと言われているが、本当なのか?

などなど、漠然とイメージしていたものを、私にしっかり見せてくれています。

もう一つ驚愕だったのは、その頭の良さ。

テツとミヤ

この写真を少し説明します。

私は、竹筒の中に蜂蜜を入れて、バリバリと竹を割る「クマの顎の強さ」をとりたかったのです。
テツは私の思い通りのシーン(写真奥)を見せてくれました。

しかし、ミヤはいつまでたっても竹を割りませんでした。
飼育員の方に聞くと、彼女はなんと3年前の経験を覚えていたのです。
3年前に竹筒に餌のペレットを入れて、竹筒を転がすと餌が出るおもちゃを与えていたようです。
彼女は3年前のことを覚えていたのです。

そして、驚きは彼女は竹筒の中の蜂蜜をとるために、
池に竹筒を投げ入れ、それを引き上げ、中から染み出てくる甘い水を舐め始めたんです。
それを繰り返していました。

チンパンジーなどの霊長類が、筒の中に仕込まれた餌を舐めるために、枝などを筒に差し込み、餌を食べるシーンに驚かされたことがありますが、このミヤがとった行動から、改めてクマの学習能力や知能の高さを実感しました。

今回、テツとミヤから教わったリアルなクマの姿.は、撮影した映像を見せながら、子供たちにしっかり伝えていきます。そして、必ずや野生のクマと人との共存に役立てたいと思います。

テストと撮影は今月いっぱい続きます。
テツ、ミヤ、そして茶臼山動物園のスタッフのみなさん、もう少しお力をお貸しください。

田中
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