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土地と人と動物と(インターン日記)

 クマチームでインターン中の、帯広畜産大学の米山実里と申します。
3週間…長いなぁと思いながら始まったインターンも、もうすぐ終わりです。普段は北海道で暮らしているので、北海道ではなかなか見られない本州の生き物に目移りしながら、楽しみ、そして学ばせていただいた3週間でした。
IMG_8499_201309180937067ab.jpg捕獲作業中の私。


 今回はクマチームの数ある仕事の中から、通報対応について書きたいと思います。通報対応とは、クマの目撃情報などが寄せられた場合、実際に現場へ行って情報収集や通報者へのアドバイスを行う業務です。

 クマは人身事故を起こしうる力を秘めているため、適度な距離を保つ必要があるのは事実です。でも、クマの慎重で臆病な行動を見ていると、完全に隔離しなければならないような危険な生きものではなく、私たちが適切な対応を行えば共存できるように感じます。

 スタッフの方は、クマに出会った人から可能な限りの情報を聞き取り、的確なアドバイスをします。住人の方の「これでひとまずほっとした」という言葉に、地域に密着した野生動物の専門家の必要性を感じました。

無題畑の真ん中から食べられたトウモロコシ。

burogu_20130918095249693.jpgクマの足跡。(ペンは比較用)

 ところで、軽井沢町が誰のものかと考えてみると、人のためだけの場所ではなく、また動物のためだけの場所でもないことは明白で、ピッキオでは場所や時間帯を使い分けることによって両者が共存できないか、と考えています。例えば、市街地では夜でも追い払いを行いますが、別荘地では朝になるまでに森へ移動してもらいます。このこともあり、町内を利用するクマの多くが、人間と出遭わないように「夜型」の生活を送るようになっています。

 夜でもどこでも、とにかくクマを追い払ってほしい方がいらっしゃるかもしれません。しかし、本来は夜行性ではないクマが夜型生活をしてくれているように、人も動物に対して譲歩しながら、妥協点を探る姿勢を持つことが大事なのではないかと感じました。そもそも、軽井沢町では静かな夜が求められており、コンビニエンスストアも24時間営業ではないくらいです。時間帯での使い分けを可能にする土壌は既にできていると思いました。

 私が住む北海道でも人と野生動物との間に軋轢が起きています。今回の経験を活かして、大学へ戻ってからも、その土地ごとの解決法を考えていきたいです。


帯広畜産大学 米山実里
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