個体識別を試みています

最近、軽井沢周辺では、サクラの実を食べに出てきたクマが頻繁に目撃され、通報が多く寄せられていました。

数日前にも早朝、パトロールをしていると、木の上でサクランボを食べているクマに出会いました。クマは、こちらに気づくなり、“フーフー”言いながら、慌てて木を降りて、茂みの中へと逃げていきました。

周辺に民家などはないのですが、頻繁に目撃されていることから、クマチームとしても何らかの対応をする必要がありました。そこで、どんなクマが、何頭来ているのか個体識別をするために、センサーカメラを設置することにしました。

すると、パトロールの際に見たクマと同一と思われる、若いクマが写っていました。


クマIMAG0009

大嶋
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樹上にもご注意ください

6月下旬になると、クマは木に登ってサクランボを食べます。
先日、クマが目撃されたこの木も、たわわにサクランボをつけていました。

たわわに実ったサクランボ

よく見ると果皮にはしわがよっており、今が食べ納めのようです。

サクランボアップ

この時期はサクランボ目当てのクマ以外に、親子のクマが木に登ります。
まだネコくらいの大きさの子グマは、走るより木に登るほうが得意なようなのです。

人間の接近などを察知すると、母グマは子グマに対して「カッカッ」と鋭い声で呼びかけます。
「木に登ってじっとしていなさい」と言っているようで、この声は不思議なくらいよく通ります。

母グマは子グマの後から木に登ったり、根元で待機したりして、じっとしています。
マタギとか釣りの世界では「木化け」といって、木と一体化して気配を消す術があるようですが、母グマはその境地なのではないかと思います。

母グマはじっと耐えていますが、それでも人間が近づいた場合は、間近になって木から下りてくることがあります。
単独のクマによるものとみなされている接触事故の中には、子グマを木の上に預けた母グマが、辛抱たまらず攻撃してきた事例があるのではないでしょうか・・・。

森の中を歩く時は、ツキノワグマが木の上もよく利用することを意識することが大事かと思います。

木化けしている母グマ

(写真)「木化け」している母グマが写真中央部に写っているのがお分かりでしょうか。写真では見えませんが、2頭の子グマはその上のフジ蔓が絡まったところで、これまた「木化け」しています。

  玉谷

はじめまして!

はじめまして。

6月5日からクマ対策チームでお仕事させていただいています、浦西茉耶(うらにし まや)と申します。

大学院時代まで、三角網を握りしめて魚類(カジカ)の研究をしておりましたが、今月より北海道から軽井沢へやってきました。

maya uranishi

着いて早速、次々と捕獲の知らせや目撃の通報が入り、やはりクマも住む町なのだな、と改めて驚いています。

昨年はアラスカ大学にて、野生動物の管理や、アウトドア・レクリエーションの管理を勉強していました。そこでは日本とアメリカでの管理体制のあまりの違いに衝撃を受け、日本で政策を変えるためには、まず人と野生動物との付き合い方を変えるところからでは、とピッキオの扉をたたきました。

サケとば小屋にて
(写真)アラスカ州のFish & Wildlifeのサケ調査で、アラスカ・ネイティブの
    友人の祖父の鮭とば小屋にて

ツキノワグマと関わることも、人とクマの生活が重なる現場でのお仕事も初めてですが、ピッキオの合言葉、「みんなをHappyに!」を胸にがんばりますので、いろいろ教えていただけましたら嬉しいです。クマと人間が共存できる町作りを、いつか、全国に広めて行きたいという野望を抱いています。

どうぞよろしくお願いいたします。

浦西

ジューンブライド

これは専ら西洋の文化ですが、6月はクマにとっても子孫を残すための大事な季節です。

メスを求めて東から西へ、南から北へ。
大胆に行動するオスグマがうっかり街へ出てこないように、
毎晩パトロールを行っています。

6月16日の午前5時、発信器のついたオスのクマが、森と別荘地の境界線に下りてきたので、
もう少し奥へ追い上げることにしました。

電波を頼りに接近していくと、途中で新しいクマの痕跡を見つけました。

ハム?の糞

受信シグナルが徐々に強くなっていき、木の上から獣の気配が・・・

「グゥオッグゥオッ・・・」
普段聞きなれない鳴き声が聞こえたので、じっと目を凝らしてみると、
大きな木の上に、発信器のついたオスのクマが一頭、
そのすぐ上に初めて見る小さめのクマが一頭。

その光景はさながらカブトムシのようでした。

私たちの気配に気づき、慌てて木から下りてきたのはオスのクマ。
一瞬こちらを振り返り、変な声で鳴きながら森の奥へ飛んで逃げました。

置いていかれた小さめのクマも、逃げていくオスのクマをしばらく目で追った後、
木から下って同じ方向へ走っていきました。

小さめのクマはオスに迫られていたメスグマ?、それともオスに追い詰められていたオスグマ?、それとも・・・
そういえば、2日前には、このオスのクマが発信器を付けたメスのクマと同じ場所にいたことを確認しています。
私には、今回のクマもメスグマであったように見えました。

看板の情報を更新

看板には2頭のクマが別荘地に現れた日付を書き込み、付近の住民の方々に注意を呼びかけました。

  熊谷 ♂

ベアドッグパトロール、ひとまず終了!

町内の最新のクマ情報でもお伝えしましたとおり、町中西部の追分地区の別荘地で、6月8日、9日と続けざまに親子グマの目撃情報が寄せられました。

直ちに周辺住民に伝えると共に、歩行者等への周知のため、看板を設置。

看板設置

また、発信器が付いていない個体なので、捕獲も検討されましたが、万が一、子グマだけが捕獲され、母グマが興奮して、歩行者に威嚇等をすることも考慮し、今回はベアドッグが出動しパトロールをすることになりました。

パトロールは6月9日夕方、10日~15日の早朝(4:30頃~)の1週間、連続して行いました。

まだ人が歩き始める別荘地の道。

別荘小道

ベアドッグ・ブレットと私でパトロールスタート。

スタート

ブレットは、車内から外気を入れるだけで、もし道路脇にクマが潜んでいる場合、その臭いを探知して吠えて教えてくれます。

私が「探せ」の命令をかけると、ず~と臭いをかぎ続けます。
ものすごい集中力ですが、かなり疲れると思います。

探査中

もちろん車道がないところは、車から降りて歩かせます。

探索中3

パトロール期間中には、子グマの糞や食痕を発見したり、新しいクマの臭いを探知して、車外で3回の追い払いを行いました。

その結果、徐々にクマの気配は出没エリアからなくなりました。
またクマの移動経路も見えてきました。

これは別荘地脇にあるジャングルのような林、この中には綺麗な沢も流れており、このような森からふらふらと好奇心旺盛な子グマが別荘地に出てしまい、一気に目撃情報が寄せられたのかもしれません。

別荘地脇のジャングル

いずれにしても人間だけでは出来ない仕事を、クマ対策の様々な局面でブレットはこなしてくれています。
本当にありがとう。そしてお疲れ様。

ちなみに、今回分かったクマの移動経路は地図上に描き、地域の方に周知する予定です。

田中&ブレット