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隠れています

さて、私はどこにいるでしょうか?


迷彩

一応隠れているつもりです。
そして、身を守っています。


何から身を守るのかというと・・・

この楯は、クマに麻酔を撃つために、にじり寄る際に使います。
特に、ワイヤーのくくり罠にかかったクマへ近づく時のためにつくりました。

こんな感じです。

接近

クマにとっても、間近で人間と対面するのはとても怖いはずです。
ですので、スライド式ののぞき穴と銃身を置くくぼみをつくって、できるだけこちらの影を見えないようにする工夫を施してみました。

しかし、片手では、ちょっと重たいのが難点です・・・

麻酔銃


熊谷
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今年初めての捕獲作業がありました

私たちの事務所の周りでは、コブシ、サクラが咲き終わり、ズミの花が散り始めました。
窓の外からはオオルリに加えて、エゾハルゼミの声も聞こえるようになりました。
季節が一気に走り出した感じです。

萌黄色

冬眠からあけたクマたちも活発に動き始め、町内の林にも、遠くで冬眠していたクマが戻ってきました。
戻ってきた日は昨年と比べて数日と違わず、その正確さには驚かされます。
この時期にあそこへ行けば何々がある、としっかり記憶しているのだと思います。

今日、5月21日は、事務所の近くで今年初めてクマが捕獲されました。
(昨年は5月23日が初捕獲日でした。)
イノシシの箱わなにかかったクマは、体重71kgの立派なオスでした。
クマの交尾期は初夏だと言われていますが、今日のクマには発情のサインがありました。

初捕獲

  玉谷

追跡中のクマ、すべて冬眠あけ!

みなさま

今年も追跡中のクマ、すべてが活動を開始したようです。今年は冬眠あけ始めの時期こを遅かったものの(昨年に比べ10日ほど遅)ものの、最終的にはすべての個体が5月中旬には活動開始(例年並み)です。

この前のブログでもお伝えした通り、No.64(ルーシー)が出産しているのではと推測し、センサービデオを設置していました。

予想は的中しました。

2頭の子グマを出産していることを映像で確認しました。

ルーシーは5歳で初産ということになります。
通常クマのメスは4~5歳から繁殖可能と言われているので、それを実証したかたちです。

No64s 2cubs
これは冬眠穴前に出てきた2頭の子グマ(動画を静止画にしたもの)。

また、ルーシーの子グマたちは興味深い動きを教えてくれました。

子グマが出てくるのは、毎朝5:00~6:00頃で、
子グマが出てこなくなるのは、毎夕16:00~16:00頃、

と非常に規則正しいのです。
そして、一番、よく冬眠穴前で遊ぶのはお昼頃。

しばしば2頭でもみ合い(相撲?)をしています。
少し嵐が吹く程度で慌てて穴に戻ります。

穴から1~2m離れると、母親が穴から出てきてくわえて連れ戻す。

冬眠穴から2mほど離れた木の幹には、子グマと思われる小さな爪痕が残っていました。

恐らく子グマが木に捕まる練習をしたのでしょう。地面から爪痕までの高さは30cmほどだったので、ほんとうに捕まっただけかな(笑)。

子グマ爪痕

こんな行動を穴の前で繰り返しながら、約1週間後に穴から移動してゆきました。

5月20日現在、冬眠穴から約500m離れた場所をうろうろしています。
恐らく子グマに色んなことを教えながら、さらに体力がついたところでどんどん動いていくのでしょう。この後も追跡を繰り返しながら、どのように移動距離を伸ばしてゆくか、確認してゆきたいと思います。

ちなみにこれは冬眠穴の外と内部の写真。
妊娠したメスは子育てのことも考えて、色んな快適な物件を一生懸命森の中で探すのでしょうか。

テラス
穴の前には子グマが遊ぶに丁度良いテラス。

穴の中
穴の奥行きは約2m50cmほどで、枯れ葉を敷き詰め、子育てをするのにも十分の広さ。

とっても子グマに優しいそうな環境でした。

田中&ブレット

母グマの冬眠あけは本当に遅い??

電波発信器やGPSによる行動追跡だけでは、母グマの冬眠あけは5月中旬~下旬頃としか言いようがありません。

しかし、直接観察をすると色々見えてきます。

これはNo.64(ルーシ)の冬眠穴を11月21日に撮影したもの。

no.64 winter-den 2010

実は昨年と同じ穴を使用しています。

これは同じくルーシーの冬眠穴を5月5日に撮影したもの。

no.64 winter-den

現場で冬眠穴の前をよ~く見ると、何だか出入りしたような土目が見えました。

ルーシーは現在5歳。
そろそろ出産可能な年齢なので、子グマを出産した可能性があります。

これは、以前、冬眠穴前で撮影を試みたクロス親子の動画を静止画にしたもの。

cross with 2cubs in 2007
(動画撮影:群像舎)

これを撮影したのは今と丁度同じ5月上旬(4~8日頃)。

未だ足もとがおぼつかない子グマが

巣穴の前でよちよち歩き、
太めの露出した根っこで懸垂?したり、
たまに斜面を転げ落ち、それをクロスが巣穴にくわえて連れ戻す

というような行動が観察されました。そして、その約1週間後に、親子で冬眠穴をあとにしました。

今頃、きっとルーシーも天気の良い日は巣穴を出て、子グマと戯れているような気がします。

クマプロジェクトの一環で、追跡個体の繁殖状況を調べるために、ルーシーの冬眠穴の前にも自動撮影カメラ&ビデオを設置しました。

no.64 winter-den 2010 (DV)

出産していれば子グマの頭数や行動も見えてくるでしょう。

また、ご報告します。

田中&ブレット

どんぐりがえし

浅間山麓の国有林で行われた「どんぐりがえし」に参加してきました。

dongurigaeshi

「どんぐりがえし」は、町内の小中学生が地元の山でどんぐりを集め、育てた苗木を植樹する活動です。
軽井沢町のボランティア団体「どんぐり運動の会」が中心となって、平成2年以降、毎年行われています。

22回目となる今回は親子連れなど約160名が参加して、ミズナラ、コナラ、トチの苗木を、トウヒの林の間に植樹しました。

syokuju

森林管理署長は、金子みすずさんの詩「わたしと小鳥とすずと」から、「・・・みんなちがって、みんないい」というお話をされました。
クマと人が共存していくためにも、いつまでも様々な環境に抱かれた浅間山であってほしいなあ、と思います。

作業の後には美味しい豚汁がふるまわれました。
ここのところ景色をかすませていた黄砂は昨晩の雨で落とされ、お腹にも目にも嬉しい春の一日となりました。
asamayama

玉谷

今年も西部小学校でクマ講座開講!

本日(5月6日)、毎年恒例の

軽井沢町立軽井沢西部小学校 「春のクマ安全講習」 を開講いたしました。

対象は全校児童と先生(約330名)で、毎年、クマの生態や対処法をお話しています。

西部小学校は町内でも特に山間部に近い小学校なので、講習内容は日常的な登下校や家の周りで役に立つ内容となっています。今年で5年目なので、西部小の児童たちは恐らく日本の中でもずば抜けてクマに詳しい小学生たちだと思います。

今日は新クマチームスタッフの大嶋と二人でスタート。

まず子ども達にクマへの興味をしっかり持ってもらうために、本物のクマの剥製と共に、クマの生態や生き様の話。

剥製

大人のクマの上に乗っている裸クマは、今年初登場の(昨晩私が夜なべをして?手縫いした)赤ちゃんグマのぬいぐるみ。毎年、少しでもリアルにクマをイメージして貰う工夫を考えています。

新生児・子・親

さらに冬眠明けの話をしながら、穴の中でどれだけ子グマが大きくなるか、またクマの大きさを正しくイメージして貰うために、本物の子グマの剥製も登場!

その他、色々なクマの性質や、西部小学校周りでのクマの情報などをお伝えして座学は終了。

次はロールプレイ!!
登下校中に考える様々なシチュエーションを準備しています。

ロールプレイ1

川沿いで出会わない注意点や、至近距離での遭遇や親子グマへの注意点など、色んなシーンが目白押し。
これまで私も何度もクマと出会ってきたので、そんな経験談も交えます。

中高学年の代表の児童には、「これまでのレクチャー経験を活かして、新1年生のお手本になるようにがんばれ」と激励!

万が一、クマに向かって来られたときのポーズなども実践します。

ロールプレイ5

最後は、犬の散歩時(手綱を話さないこと)やゴミ・食料の管理(夜間放置は厳禁)の注意点など、
お家で守ってほしいことをお話しました。

そして、お別れ時は・・・

様々な本物のクマの剥製や足跡などとのふれ合い。

ふれあいTime1

クマの手足の剥製とハイタッチ、ロータッチ!

クマとハイタッチ

クマの足跡なども体感します。

クマと歩く

ここでの主役は全て、これま町内で駆除せざるを得なかったクマたちや、死亡したクマたちです。
そんなことも子ども達に伝えながら、短い時間ですが、今年も非常に有意義なときを、子ども達と過ごしました。

最後の校長先生からのお言葉は、対策の最前線で働く人間として大変勇気づけられるものでした。

「西部小学校は日本の中でもクマの暮らす場所に最も近い小学校かもしれません。そんな場所でピッキオのクマ対策チームが追い払い等でがんばってくれています。私たちもこの講座で学んだことを活かしながら、しっかりとすみ分けながら共に暮らしてゆきましょう」と。

このような環境や先生の中で成長した児童達の将来の姿がほんとに楽しみです。

田中&ブレット

クマの目覚め

みなさま

5月1~2日時点での発信器を付けられたクマたちの冬眠あけ状況をお伝えします。

電波を受信できた13頭(オス3頭、メス10頭)のうち、既に冬眠からあけて動き出したクマは、

オス:3頭、メス:3頭

今年は早いクマでも4月下旬になってから動き始めました。

昨年は4月中旬から動き始めたクマが18頭中6頭確認されていましたので、明らかに今年の動き出しは遅いようです。現時点で活動を開始したクマの頭数は昨年と同じですが、動き出した時期は昨年より10日ほど遅い感じ。

オスグマから動き出すパターンは同じで、今年も追跡中のすべてのオスグマが動き出しました。

これまでの経験から、

■ オスグマはサクラが咲き始める頃、

■ 単独のメスグマはサクラが満開になり散り始める頃、

■ 冬眠穴の中で出産したメスグマは木々の葉っぱが開き終わった(6月上旬)頃

に、目ざめて動き出す感じです。

約半年間、飲まず食わずのクマたち。
まずは水や草の芽吹きを求めて沢沿いに下るのでしょうか?

今頃はやっと芽吹きが始まった時期。
まだまだ森の中での見通しは、人もクマもききますが、あまりにも夢中で山菜を探すのは人もクマも同じ。

みなさま、いつものことですが、

森へ行くときは、クマとの遭遇を防ぐために、

1.周辺でのクマの生息状況の確認(行政や地元の自然センター等)
2.心構えやクマ鈴等の身構え

をどうぞよろしくお願いいたします。

また、クマの聴覚や臭覚は非常にするどく、ほとんどの場合、クマの方が先に人の存在を確認して逃げてゆきますが、それに頼ることなく、私たちも森を歩くときはいつも以上に五感を研ぎ澄ましてはいかがでしょうか。

ちなみに、この写真は昨年、冬眠から明けあけたイク(当時4歳)を自動撮影カメラで撮影したもの。
4月下旬で、まだ森の中の芽吹きはこれからという時期。

59.jpg

ツキノワグマの黒い毛は、芽吹き前の見通しのきく森の中では非常に良く目立ちます。「黒っぽい」イノシシやカモシカはいますが、ツキノワグマを見た方は皆口を揃えて「真っ黒だった」とおっしゃいます。

どうぞご参考にしてください。

田中&ブレット