【QUMAプロジェクト】冬眠調査実施中!

現在、QUMAプロジェクトの一環で、冬眠穴調査を実施中です。

クマが冬眠している穴の周辺環境や、メスグマの出産確認を試みています。

そんな最中、ナショナルジオグラフィックにクマの冬眠についての記事が載りました。
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト

アラスカ州の人間居住地近くで捕獲され、安楽死される予定だったアメリカクロクマ4頭に、体温や心拍数などを測定する器具を装着して人口の巣穴で飼育した。その結果、冬眠中の平均体温は夏期の活動時より5~6度低いだけだったのにも関わらず、代謝機能は4分の1まで下がった。これは、動物は体温が10度下がるごとに代謝機能が半減するという通説を覆す結果であり、そのメカニズムが解明されれば病気の治療やダイエットなどに活用できるかもしれない。

・・・とのこと。

あれだけ大きな動物が何も食べずに数ヶ月も穴にこもり、メスに至っては子供を産んで育てるというのは、それだけで驚くべきことです。

それでいて、冬眠中でも人間が近づけば雪の中に勢いよく飛び出していくことができるのですから、休日に寝すぎただけで体の動きが鈍くなる人間(私)とは比較にならない機能を持っていることは間違いありません。

最近、日本獣医生命科学大学の山本先生と一緒に冬眠穴を訪ねてきました。

winter den1

いつでも体は動ける状態にある冬眠中のクマですから、私たちも慎重に接近してゆきます。

winter den res.3

今回調査をした冬眠穴の主は、No59♀「イク」とNo.54♀「シャカ」で、それぞれ4才、5才です。
そろそろ初めての出産を迎える頃ではないか、と思っています。

出産したとすれば、生まれたての子グマが穴の中にいるはずです。
この時期の子グマは、お乳を求めたりする時に大声を上げることがあります。
「ウェェェェ」とか「クルクルクル~」といった声は穴の外まで聞こえます。

声が聞こえるかな、と思って、穴の近くで耳をすませていたのですが、結局、その日は聞くことができませんでした。

winter den2

どちらの冬眠穴も守りやすく攻めにくい、崖に張り出した尾根の上にありました。
また、子グマが穴から出てくれば目にするであろう眺めも素晴らしいところでした。

玉谷
スポンサーサイト

啓発ウォーク、お疲れさまでした!

2月11日の記事で、NPO法人スポーツコミュニティー軽井沢クラブさんの主催により、軽井沢で家庭犬を野生動物対策に生かす試み(「フォレスト・レンジャー・ドッグ」プロジェクト)に協力させていただいていることはお伝えしたとおりですが、

2月20日には、このプロジェクトの訓練課程で行われる「啓発ウォーク(ツキノワグマ編)」が行われました。

私はその講師を務めさせていただきました。

当日集まってくださった飼い主とワンちゃんは13ペア。
スタート

夏になると実際にクマの出没したことがある地域を一緒に巡ります。
今回は別荘地ではなくて、町南部の農耕地。コースは約5km、それなりの距離です。

移動

飼い主さんにクマが出没しやすい環境やルート、出没時期やその原因などを現場でお伝えしながら歩きました。

この研修を受けられた方々が、実際にワンちゃんとお散歩をするときに、注目すべきポイントになります。
この場所は実際にクマが横断するルート。

横断ポイント

どうしてわざわざここを横断するのかをお話ししています。

この写真は耕作放棄地。
耕作放棄地

夏はこの放棄地の際に、トウモロコシを狙って幾度もクマが出没したことがあります。
軽井沢だけではなく、全国各地で中山間地域にクマや野生動物が出没したり、潜んだりする大きな原因の一つ。

このほかに、河畔林や里へ続くコリドーなどの環境も見ていただきました。
またクマによる被害内容や痕跡の写真などの資料なども提供させていただきました。

皆さん、ワンちゃんと一緒に本当に楽しそうに歩いてくださいました。
参加者のみなさま、本当にお疲れ様でした!

次回は、3月中に軽井沢のクマ対策の最前線で奮闘するピッキオの「ブレット」(私の育成訓練しているカレリア犬です)の見学会があります。

ぜひお会いしましょう。

田中

クマの皮をなめす

今日はベアドッグやフォレストレンジャードッグ研修生、環境教育用の毛皮づくりを行いました。

少し生々しいですが、これも大切な仕事。

古の人々は衣服や靴、帽子なんかを作るとき、この作業を必ずやっていたんでしょうね。

私はこれまで何度か皮なめしをしてきましたが、この作業をしている最中は、いつも精神だけはタイムスリップして、寒さも忘れて無心でやっている自分にハッと気付くことがしばしば・・・。

さて、まずは毛皮の内側についた脂肪や肉の除去作業。

除肉作業

小さな手作りナイフで、約50平方cmの大きさの毛皮で約1時間。

こんな感じ。

除肉終了

本来の毛皮のなめしならば、

1.最初に洗剤で毛皮を洗い、
2.除肉作業をして、
3.防腐処理のためにミョウバン液に1週間つけ、
4.軽く洗浄して、皮をのばした状態で乾燥。
5.その後はひたすらもみほぐす

という作業をするのですが、

犬の訓練用としては、1.と3.の作業は無くして、
なるべく匂いを残した状態で、水洗いだけして乾燥させています。

張る作業

今回は、環境教育用の毛皮も作るので、こちらは1.~5.の作業でやる予定です。

兎に角、駆除せざるを得なかったクマを、少しでも活用するために、こんな作業もこつこつやっています。

田中

「QUMAプロジェクト」 始動 !!

 この度、私たちは三井物産環境基金(東京都千代田区大手町/三井物産株式会社 環境・社会貢献部 社有林・環境基金室)の活動助成を受けて、クマの基礎調査を行うことになりました。

 この調査は浅間山麓でクマの個体数や移動パターンの解明を目的としているので、QUMAプロジェクト(Quantification of Ursus in Mt. Asama Project /浅間山麓のクマに関する実態把握)と名づけました。QUMAはもちろん「クマ」と読みます。

 昨年は各地で多くのクマが人里近くに出没してニュースになりました。環境省によると、全国でクマによって3名の方がお亡くなりになり、146名の方が怪我をされています。一方、駆除されたクマはヒグマとツキノワグマを合わせると、3490頭にのぼりました。

 クマはどうして人里に出没するのでしょうか。そこに美味しいものがあるから、森に食べ物がないから、数が増えたから・・・。いろいろなことが考えられているものの、はっきりしたことはわかっていません。私たちがクマと向き合っていくためには、もっと彼らのことを知る必要があります。

Quma1.jpg

 ピッキオではこれまで、人とクマの不幸な出会いを避けるために様々なことを行ってきました。野生動物対策ゴミ箱の導入やベアドッグ(クマ対策犬)を用いた追い払い、問題グマの特定などが成果をあげ、軽井沢町の状況はかなり良くなってきました。被害対策がひと段落した今こそ、森の中にもっと目を向けて、クマのことを知るチャンスだといえます。
 
 「QUMAプロジェクト」の期間は3年間で、以下の内容を予定しています。

1.個体数推定方法の確立
 浅間山麓に何頭のクマが生息しているのかはよくわかっていません。クマの体毛を採取しDNAを鑑定することで生息数を推定する調査方法(ヘアトラップ法)を確立します。

2.広域的な移動実態の解明 
 クマの行動範囲はしばしば行政界を越え、市町村や県による調査ではこうした動きを把握することが困難です。このため、クマにGPSを装着して広域での移動実態を解明し、関係者間で情報を共有することによって、浅間山麓全体での保護管理体制の構築につなげます。

3.繁殖状況の確認
 冬眠中に出産するメスグマの冬眠穴を調査することで、子の有無を確認します。この情報は生息数の増減を予測したりモニタリングするための重要なデータとなります。

Quma2.jpg

 「QUMAプロジェクト」は日本獣医生命科学大学(東京都武蔵野市)、国際自然環境アウトドア専門学校(新潟県妙高市)の皆様と連携して実施していきます。また、プロジェクトの進捗状況をこのブログをはじめとして様々な場所で公表し、皆様のご指導を仰ぎながら進めていきたいと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

玉谷

ブレットとコース下見をしました

昨秋から同じ町で活動されているNPO法人スポーツコミュニティー軽井沢クラブさんの主催により、軽井沢で家庭犬を野生動物対策に生かす試み(「フォレスト・レンジャー・ドッグ」プロジェクト)がなされています。

ピッキオでも「ツキノワグマ」に係わる生態や対策の知識や技術の普及の部分で、この試みに協力させて頂いています。

この試みの訓練課程で「啓発ウォーク」というものがあります。これは本試みをアピールする目的もありますが、それ以上に実際に森や別荘地、集落や農耕地などで見回り(お散歩)をするときに、注目するポイントや収集すべき情報などを、町内でクマやシカ、サル、中型動物等の調査や被害対策に従事している専門家と一緒にその生息地や軋轢現場を歩くことで学んでいます。

この「啓発ウォーク(クマ編)」の2回目が今月20日に開催される予定で、ピッキオではその講師を務めさせていただきます。

今日はその下見。

前回の啓発ウォークで歩いた場所が少し高低差と距離もあり、次回に時間超過や凍結路面による事故などが懸念されるため、ルート変更を検討しています。

今日はブレットと一緒に新ルートを巡りました。

冬の農耕地(コース下見)

昼間でもどんよりと曇り雪模様。

この場所は夏はキャベツやトウモロコシ畑が広がる畑地帯ですが、一面の雪原となっています。
もちろんクマやシカが出没することもある地域です。

コースタイムや当日参加者の方にお話することをイメージしながらお散歩。

ブレットはそんなことお構い無しに、雪の下に残る色んな臭いをくんくんかぎながら歩くので、終始顔中雪だらけ。

Bullet.jpg

約2時間歩きました。

さらに事務所では、「フォレストレンジャードッグ」の訓練生たちが、クマの臭気を覚える訓練をするために、実際のクマの毛皮からクマの臭気とりをしました。

クマの毛皮は、町内で過去に駆除された個体のものを環境教育用に保存しているので、それを使用しました。

臭気とり

臭気タオル

とは言え、訓練生の頭数は30頭弱。

全員分

ひとつひとと丁寧に臭いをつけ、しっかりパッキングするのも一苦労ですが、これで駆除せざるを得なかったクマを、今後の地域とクマとの共存のために少しでも活用できるので、気持ちをこめてやりました。

田中 & ブレット

Happy Birthday Bullet !!

Happy Birthday Bullet!!

ブレットが1月31日で7歳を迎えました(アメリカ生まれなので、日本時間2月1日)。

bullet-7yearsⅡ

とは言え、彼を人間で言うと中年・・・。私と同じアラフォーというところでしょうか?!

たった7年とは言え、生活と仕事を共にしながら、非常に濃密な時間を共に過ごし、幾多の苦難を共に乗り越えてきたので、何とも言えない感情です。

今は私と同い年でも、ここからは彼の方がどんどん早く年をとっていくことになります(私もだいぶ白髪が目立ち始めましたが・・・)。

bullet-7yearsⅢ

日本初のクマ対策犬として命を受け、遙々アメリカから軽井沢にやってきた彼と共に、これからも「人」、「クマ」ともに豊かな暮らしをおくるために、微力ながら力の限りサポートさせていただきたいと思っております。

これからもご支援、ご協力の程、どうぞよろしくお願いいたします。

田中&ブレット