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本年もよろしくお願いいたします

旧年中は大変お世話になりました。

今年はベアドッグ「タマ」と「ナヌック」が本格デビューします。
野生動物と人の間の道を照らす一筋の光になれるよう、一歩一歩進んでまいります。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

チーム写真withキャリーさん2015秋


  ピッキオ「クマチーム」一同

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冬眠から覚めました!

お久しぶりです!昨年の夏に引き続き、今年も6月からクマチームスタッフとして勤務している岡田です。

昨年の勤務最終日に「クマより一足お先に冬眠させていただきます。」とブログを書きましたので(http://npopicchio.blog95.fc2.com/blog-entry-256.html)、今回は長い冬を終えて冬眠から覚めました!と言う報告です。

クマ達も冬眠から目覚めて、それぞれの生活を始めています。彼らの生活の中で今どんな物を食べているかを知るのに重要なヒントになるのが、

なんとクマの糞です!

クマは食べたものを消化する力が弱く、食べた物がそのまま糞になって出たりするので、クマの糞の内容物を分析することで、クマが最近どんな物を食べているのかが分かるのです。

しかしクマにお願いして糞をもらう、なんて事はできないので、自分自身で糞を見つけなければいけません。
なんのヒントも無しに広い森を散策して糞を見つけるのは難しいので、夜間巡回でのクマの追跡調査で個体がいた場所へ、日中に行って糞を探すという事をしています。すると高い確率で痕跡があったり糞が落ちています。

採取した糞は持ち帰り、水にさらして内容物を分析します。
最近分析した糞では主に草本、アリ、ウグイスカグラ・ヤマザクラの種が出てきました。
確かに森を散策しているとこれらの実をよく目にします。そして美味しい。
DSC00333.jpg ウグイスカズラ



そして最近、とても大きい糞を発見しました!!
これは追跡個体を目視して、その個体が去った後にその場所で発見したものです。
初めてこんなに大きな糞を見ました!
IMG_2736.jpg 興糞!!

ぱっと見ても分かるくらい、サクランボの種がたくさん入っています。
分析を進めてみると、アリも入っている事が分かりました!
このように、分析してみて初めて見つけられる物もあるので、糞を拾うと「今回は何がでるかな♪」といつもワクワクします!



最近はクワ、モミジイチゴもよく成ってきたので(これらもとても美味しい)、そろそろ糞の種類もこちらにシフトしていくのではないかなと思います。
unnamed2.jpg モミジイチゴ



今後も糞分析で発見がありましたら、またブログにアップしたいと思います!

皆様、この夏も昨年と同じくイノシシのように猪突猛進で働きますので、宜しくお願い致します!!


クマチームスタッフ岡田



はじめまして

はじめまして、6月よりクマ対策チームでお仕事をさせていただいております大村亮太(おおむらりょうた)と申します。
小さいときから生き物が好きで特に野生動物にかかわることがしたいと思い、地元の神奈川県では傷病鳥獣救護のボランティアをしていました。ボランティア活動では運ばれてくる動物の数の多さに驚かされ、自分たちの何気ない生活の中に動物たちを傷つける原因があることを感じてきました。それとは逆に農業被害などの軋轢もあり野生動物との共存の難しさも感じ、もっと彼らのことを知りたいと思うようになりましたボランティア活動でも色々な動物たちを見てきましたが、ツキノワグマを見るのは初めてです。
oomura
看板設置作業中

初めて見たクマは体重126kgのかなり大きいオスグマでした。首が太く上半身もがっちりしていたためかなり迫力がありました。軽井沢はとても豊かな自然に囲まれているからこそ彼が生きてこられたのだろうと思います。

zennsinn
男性6人がかりでやっと軽トラまで運ぶことができました。

kubimawari
首囲70cmにビックリ

生き物相手にお仕事をさせていただくのは初めてです。ここでは色々な経験ができ自分を成長させ、色々な考え方を得られる絶好の機会です。覚えなくてはいけないことなどがたくさんありますが目の前にあることを1つずつしっかりとこなし、頑張っていきますのでよろしくお願いします。

今期の夜間パトロール終了

夜の軽井沢 三題

●夜の住民

日中は観光客でごった返す旧軽井沢銀座も、夜は静まりかえります。
軽井沢では町が眠るようです。

でも、真夜中の森でアンテナを振っていると、誰かが落ち葉を踏む音を聞くことがあります。
風が強く吹いた日には、別荘の屋根に落ちるドングリの音の大きさに驚きました。
どこからか、雄ジカの物悲しい鳴き声が聞こえてきます。
森は夜も眠っていないような気がします。

一度だけ、夜の別荘地で、砂利道をヤマネが横切っていくのを見ました。
ヤマネは横切ったところで、草に隠れながらこちらの様子をうかがっていました。
軽井沢には夜の住民がいます。

小瀬

●クマのこと

森には、多くの人が恐れるツキノワグマもいます。
でも、クマがどんなに人間を避けているかご存知の方は、少ないのではないでしょうか。
私はクマに関わる仕事をしていますが、一年で数えられるほどしかクマを見ません。
追い払いをしている時でもそうです。

爪跡2

●ベアドッグ「ブレット」

今年はブレットが天国へ旅立ってしまったため、人だけでクマの追い払いをしました。
去年までなら、ブレットが車を降りてひと吠えするだけで、クマが逃走し始めることもありました。
また、クマに接近していく時には、鼻が利くブレットがいるだけで緊張感が和らぎました。
暗い中で人の目の代わりをしてくれていたのです。

強力なライトを使ってみました。
暗闇の中で「見える」という安心感は大きく、クマに接近する際の必須アイテムになりました。

でも、ブレットの存在をカバーするには役不足なのです。
ブレットの後継となるベアドッグが少しでも早く、現場で活躍するようになってほしいです。

紅葉

  服部

さようなら夏

こんにちは。クマチームスタッフ岡田です。

気が付けばにぎやかな軽井沢の夏は過ぎ、紅葉の10月も終わり、ついに私のクマチームとしての勤務は終了となりました。勤務した5ヶ月が「あっっ」と言う間に過ぎたのは、携わった仕事が興味深いものばかりだったからであり、人とクマの共存を維持するためにすべきことがたくさんあったからです。

この夏を振り返ってまず思い出すことは、ツキノワグマの保全事業を通じて出会った、たくさんの方々との交流です。例えば、ヘアトラップ調査(三井物産環境基金)をインターンの方々と行なったり、豊凶調査(セブン-イレブン記念財団)を一般参加者のみなさまと一緒に実施したり、地元の学校や専門学校等でのクマ講習を通じて生徒さん達と交流したり、電気柵を貸し出している農家の方々とお話したことを思い出します。クマのことを全く知らない方からクマの被害に困っている方まで、様々な環境で生きる、幅広い年齢層の方々との輪が広がったことはクマとの共存を推し進める力になったのではないかと思いますし、何よりも、私自身にとって大きな収穫となりました。

ツキノワグマそのものについても、生態を知れば知るほど謎が出てきて、彼らの魅力にどんどん惹かれていきました。これからも謎に迫っていきたいです。

DSC094982.jpg
(写真)木登りの上手なツキノワグマに特徴的な痕跡である「クマ棚」。あんなに高いところまで登ってドングリを食べ、折った枝を積み重ねていくのですね。一度、クマ棚をつくっているクマを見てみたいものです。

ツキノワグマは人間に危害を及ぼす力を持っています。だからこそ、人間側で対策をとる必要があり、彼らの本当の生き様を知ることは、そのために欠かせないと思うのです。
私自身としては、自然や社会のことなど、様々な分野に対する理解も深めて、クマについて知りえたことを還元できたらなあ、と考えています。

・・・たくさん学ぶ事があり、身も心も痺れる5ヶ月でした。この刺激を今後の人生に活かしていきます。

最後になりましたが、ブログを読んで下さった皆様、ありがとうございました。これからもツキノワグマ日記をお楽しみください!

それでは、クマより一足お先に冬眠させていただきます。。。

  岡田