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「マロコ」その後2

19才のメスグマ「マロコ」につけたGPS首輪は、その後も順調に測位を続けました。
クマがいた場所は簡単にわかるようになりましたが、そこで何をしていたのか、どのような環境を利用していたのかを知るには、実際に歩いて調べるしかありません。

10分おきの居場所を繋ぎ合わせた軌跡を手持ちのGPS機器に表示させて、マロコのものと思われる踏み跡を辿っていけば、何かしらの痕跡が見つかるはずです。

ハンディGPSに軌跡を入れた画面

GPSの画面にある赤い線がマロコの軌跡、▲の印が我々の現在地です。
いやはや、とんでもない技術が使える世の中になりましたね!
スパイ映画も顔負けです。

この日もしばらく歩いていくと、軌跡が集まった場所へ到着しました。
辺りにはクマが休んだと思われる窪みが残っています。
これまでの踏査では寝跡だけが見つかることも多かったのですが、今回はクマの糞が残されていました。

軌跡上のクマ糞

ウワミズザクラの種子が入ったクマ糞です。
およそ一日分の軌跡が集中していることや、糞の新しさからして、マロコのもので間違いありません。

ウワミズザクラの入った糞が見つかったということは、近くに食痕が残っているはずです。
軌跡を逆に辿って、マロコが滞在した場所を一ヶ所ずつ見ていくと・・・

見つけました!

ウワミズザクラくま棚

ウワミズザクラの樹上で、枝を折って果実を食べた跡があります。
ここでは2時間ほど滞在していたようです。

・・・

その後も踏査を続けて、いくつもの痕跡を見つけてきたのですが、8月31日にマロコは町中で緊急捕獲され、調査は想定外の結末を迎えました。

最後の数時間、マロコは同じ場所をぐるぐる回り、車や人に向かってくるなどの異常な行動がみられました。
解剖の結果、甲状腺の腫瘍や鼓膜の破損、白内障など、加齢に伴う疾患を患っていたことが推測されています。

約2カ月間という短い期間でしたが、最後の瞬間を含めて、浅間山麓で暮らす一頭のクマの生き様を見せてくれたように思います。
マロコが教えてくれたことを大切にして、隣の森のクマの世界をより深く理解できるように努めてまいります。

●この調査は「トヨタ環境活動助成プログラム」によって実施しています。

  ピッキオ 大村
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日常のナヌック

ナヌックが我が家に来て2か月以上が経ち、だいぶ慣れてきたように感じています。

それは日常の仕草からも見て取れ、コマンド(指示)を出しても横を向いて聞かないふりをしてみたり、散歩に連れて行く時間になると吠えて知らせたり、寝るときにいびきをかくところなど、まるで人間の子供のようです。

仕事やトレーニングの時と日常の顔が全然違うため、ナヌック自身もオンとオフの使い分けをしているようです。

寝姿
部屋の角で寝るのが落ち着くようです。

大嶋

多くのインターン生が来ています。

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救命救急講習に参加してきました

昨日、地元の救急隊員の指導の下に救命救急講習に参加してきました。
もし、フィールドで不慮の事故が起こった場合、迅速に対応ができるようにクマチーム・ガイドチーム共同でスタッフ全員が毎年受講しています。今年は、主に乳幼児を対象とした心肺蘇生法とAEDの使用法を復習してきました。もちろん成人の場合の心肺蘇生や止血法・骨折時の対応なども受講し再確認を行ってきました。

大村

我々クマチームでは山奥へと行くこともあります。その際には細心の注意を払っておりますが、フィールドワークということもあり不慮の事故が起こることを想定し、迅速な対応ができるよう安全への配慮を引き続き行ってまいります。

大村

鳥獣慰霊碑参拝

こんにちは。クマチームスタッフ岡田です。

クマ対策において、人との軋轢問題に関して大きな原因となる行動を繰り返すクマに関して、駆除と言う手段を取らざるをえない時があります。また、今年は改正鳥獣保護法の施行もあり、シカやイノシシの個体数調整がさらに重視されるようになりました。
その様な事情等で命を落としてしまった野生動物への供養をするため、今日はクマチームスタッフ全員で、鳥獣慰霊碑を参拝しました。

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避暑地軽井沢では、これからトップシーズンを迎えます。今年もクマと人との共存を保つために、チーム一同、精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします。

岡田