タマ、ヒグマの王国へ行く!~PartⅡ~

パートⅠでは、知床博物館での講演会と、知床財団でのベアドッグの講義やデモンストレーションの様子をレポートしました。

今回はその続きです。

久しぶりに公園内でもヒグマの生息地の核心部とも言える場所に視察で行ってきました。
ヒグマたちは昔も今も変わらぬ姿で、悠然と歩き遡上するサケを追いかけていました。

Bears find salmon

Female bears with cub walk on the dart road

これを見ている限り、人を見れば直ちに襲いかかってくる動物ではないことは一目瞭然。

すべての人がクマとの正しい付き合い方や自然の中で暮らすルールを守ることができれば、この状態で共存していくことも可能なのでしょう。しかし、実際にはそれはなかなか困難なこと。色々な人が暮らし利用する地域では、同じ共存でも、お互い緊張感を持ちながら棲み分けていかなくてはいけません。

それにしても、圧倒的な存在感!!
その躍動する姿を見ているだけで、完全に時が立つのを忘れていました。

さて、本来の訪問の目的に話を戻します。

当方からのベアドッグの育成や実践事例の報告だけではなく、知床財団の方からも近年のヒグマの出没状況や対応方針などについてレクチャーを受けました。

状況説明

その上で、集落近くのヒグマの出没現場もいくつか視察させて頂き、それぞれの場所にヒグマが出た場合、ベアドッグをどう活用するか、アドバイスしながら歩きました。

現場視察

そんな最中、たまたま舞い込んだクマの出没通報。

集落近くのマレットゴルフ場を囲む防鹿ネットに絡まったシカをヒグマが食べていたというもの。通報直後は、「今まさに…」という可能性があり、直ちに知床財団のクマ対策チームの皆さんと出動!

結果的には数日前の情報だったらしく、ヒグマそのものを発見することはできませんでした。

しかし、タマと共に周辺をパトロールし、ヒグマが滞在していないことを確認しました。現場に駆けつけた警察官の方にも触れ合って頂き、クマへの直接的な対応はもちろん、しっかりしつけられたベアドッグは「人とクマとの親善大使」として役割を果たすことも垣間見て頂けたのではと思います。

現場検証

クマのパトロールをする「タマ」と人のパトロールをする「パトカー」。
配色が同じで、思わず嬉しくなり写真を撮ってもらいました(笑)

パトカーと2

ベアドッグの勉強会や現場視察、そして、デモンストレーション等を踏まえて、今後の知床でのベアドッグの活動を思い描きながら、意見交換をさせて頂きました。短期間でしたが、訓練されたベアドッグと過ごして頂き、追い払いだけではない、さまざまな活用事例を出して頂きました。

2泊3日でしたが、タマもすっかり知床財団のクマ対策チーム皆さんとも仲良しになりました。
事務所ではこんなにリラックス(しすぎ…?!)

だんらん

そして、最後に岩尾別川の河口で記念写真。

合同チーム

知床と軽井沢の合同チーム...いい写真です。

これまで連携がなかったのが不思議なくらい。
お互いに活動する場所は違っても、やはり志はまったく同じでした。

皆さん、公園利用者や地域住民とヒグマとの共存のために、日々、がんばっておられます。

これからもお互いに連携を深めながら、クマ保護管理はもちろん、日本の自然保護の頑張りをしっかり世界にもアピールしていければ、そして、そのお手伝いをタマと共にできればと強く思いました。

知床財団の皆さま、本当にありがとうございました。
これからもお互い Good Job on the bear and people を続けていきましょう!

【謝辞】
ブログ中の写真(ヒグマ以外)は知床財団職員の皆さんが撮影してくださいました。
ありがとうございます!

ベアドッグハンドラー田中 & タマ
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タマ、ヒグマの王国へ行く!~PartⅠ~

先月末から今月始めにかけて、タマと北海道斜里町・知床国立公園に行ってきました。

その時の模様を2回に分けてレポートします。

知床は、私自身が今から19年前にクマ保護管理の仕事をスタートさせたところで、第二の故郷みたいな場所です。

さて、知床国立公園と言えば、日本一のヒグマの生息地。

2005年に世界自然遺産として登録されたことでも有名です。もちろん世界自然遺産ともなれば、人の利用と自然の保全の両立を目指した自然科学的な裏付けに基づいたヒグマ保護管理が行われています。

しかし、近年、人の存在を恐れず避けないヒグマが増え、公園利用者とヒグマの遭遇や住民の生活圏への出没が日常的に発生するようになっており、このままでは知床での人とヒグマとの軋轢が増え続け、人的被害も懸念されています。
 
そこで、今回、私とタマが知床に行った目的は2つ。

一つ目は「地元の方々への講演会」、
二つ目は「現地でヒグマ保護管理に従事する方々へのベアドッグ育成や活動の紹介」

です。

まずは飛行機がひと苦労。
アメリカならタマは職業犬扱いとなり、飛行機の客室に乗れるのですが、
国内は通常通り・・・。

飛行場

犬と一緒に移動するとなると、荷物も多く、なかなか大変です。

到着したその夜には、早速、一般向けに軽井沢でのクマとの棲み分けの取り組みを講演しました。

知床博物館で開催されました。

講演会2

当日は日本ハムファイターズのリーグ優勝がかかるという道民の皆さまには大切な夜!?で、聴講者がいるのか心配でしたが、斜里町長様や教育長様を始め、会場には60名を超える皆さまがご参加くださいました。

質問もベアドッグに関するものが多かったですし、タマが参加することも告知されていましたので、これもまたベアドッグ効果だったのかもしれません(笑)。

長旅の疲れか、講演中の半分くらいは私の横で寝ていました。

講演会1

次に、知床財団を訪問し、ベアドッグ活動のことやその育成、軋轢現場の視察、タマを用いたデモンストレーションを行いました。

以前、知床財団でも北海道犬を使ったクマ対策を実施されておられたようですが、犬の選別や訓練をしっかり行えていなかったようで、人やクマに対して安定した仕事ができなかったようです。

まずは、軽井沢でのベアドッグ活動はもちろんのですが、

プロのベアドッグとはどのようなものか?
人には優しく、クマには厳しくというメリハリをもち、安定した仕事をするベアドッグを育てるには何が必要か?

等々を、講義させていただきました。

しかし、百聞は一見にしかず。
いつものしつけや実践に向けた訓練も見てもらいました。

今回はその一部をご紹介。
まずは基本的なコマンドコントロール。
来い(Come)!
これはいちばん重要なコマンド。

Come on leash

障害物に登ったり(Up,Up)、待たせたり(Wait)。

Up wait on leash

タマはいつものようにキビキビとコマンドに従います。

次に、オフリッシュ(手綱なし)で、ベアパーツ(クマの体の一部)を探し出す訓練。
ベアパーツまでの間に、クマの匂いが地面や草に少しずつ付いています。

今回は非常に難しいシチュエーションでした。

近く(ベアパーツから約6~70m)に、シカの群れがいました。
しっかりとクマへの欲付け、ハンドラーのコマンドコントロールが効かないと、ベアパーツまで到達できない可能性があります。

しかし、これまでタマと一緒に何度も訓練を積んできたので、
タマを信頼して、オフリッシュ!!
周辺を確認しろ!(Check it Out)

Off leash control

タマの表情や動き、風向きを考慮しながら、
次々とコマンドを出します。
これがハンドラーの腕の見せどころ。

タマは一度立ち止まり、シカの方を気にしつつ、私の方を見ます。
「タマ、違うよ。お前はクマを探せ!(Find the bear)」と命令。

Fine the bear by off leah

再び仕事に集中し、見ごとにベアパーツを発見(Good Find)。

Jumping catch

財団職員の皆さんからも歓声があがりました。
難しいシチュエーションだったからこそ、訓練を受けたベアドッグの能力をより実感して頂けたと思います。

Good fine!

「よくやった!(Good Job the bear)」
見学していた知床財団のクマチームの皆さんにも一緒に褒めてもらいました。

シカが歩いていた時は心配しましたが、ひと安心。
タマ、ほんとうによくやった!

続きは次回のお楽しみ…

【謝辞】
ブログ中の写真は知床財団職員の皆さんが撮影してくださいました。
ありがとうございます!

ベアドッグハンドラー田中&タマ

ご来場ありがとうございました

11月12日(土)の「真田のクマを語る集い」には、真田地域の内外から約100名の方がいらっしゃいました。
ご来場、ありがとうございました。

パネルディスカッション

長野大学環境ツーリズム学部の高橋一秋先生による基調講演「私たちが自然環境から受けている生態系サービス」に続き、真田町猟友会長の佐藤五郎さん、信州ツキノワグマ研究会の浜口あかりさんをパネラーに迎えて、パネルディスカッションを行いました。
狩猟について、防除について、普及啓発について、追跡調査について・・・
クマと共存するための具体的なヒントが出てきました。

佐藤猟友会長

お昼からは、佐藤猟友会長とやまぼうし自然学校さんの合作となる熊汁をおいしくいただきました。
シカの角などを使ったクラフト体験コーナーもあり、真田地域の自然のめぐみを体感していただけたのではないかと思います。

クラフト体験

長野県PRキャラクター「アルクマ」も登場し、子どもたちは大喜び。
そして、我らがベアドッグ「タマ」とハンドラーの田中も会場に駆けつけました。

集合写真

クマや真田地域の自然、そこに携わる方々の魅力を再発見する一日となりました。
クマと折り合いをつけるためのとりくみを後押しする力になれば、主催者としてこの上なく嬉しいです。

最後になりましたが、イベントの準備や運営を手伝っていただいたボランティアの皆様、本当にありがとうございました。
この場をお借りして御礼を申し上げます。

*このイベントは『長野県地域発元気づくり支援金』の助成を受けて実施しました。

  ピッキオ 玉谷

「どんぐり返し」の日

11月に入り、軽井沢の紅葉はピークを迎えました。

赤いモミジ

カラマツの黄色もきれいですね。

黄色いカラマツ

一昨日には浅間山にうっすらと雪が積もりました。
平年より4日遅い初冠雪だったそうです。

初冠雪から2日

今日、11月3日は、軽井沢町で20年以上続く「どんぐり返し」の日です。
地元の小学生が拾い集めたどんぐりを苗畑にまきます。
育った苗木は山に植えられ、生き物を育む、災害に強い森になります。

どんぐりいっぱい

陽光とカラマツの葉が降り注ぐ空の下、気持ちよくどんぐりをまくことができました。

いい天気

イノシシなどの野生動物に食べられないように、畑を電気柵で囲います。
長い杭を打ち込むのは熟練の技。不安定な脚立の上で、体の軸がまったくぶれません。

体軸がぶれない

でも、近くに寄って写真を撮ろうとすると、銅像のように固まってしまわれるのでした。

固まってしまわれた

週末も天気が安定しているようです。
終盤の紅葉を見に、軽井沢へお越しください。

  玉谷

11月12日(土)『真田のクマを語る集い』

現在放映中のNHK大河ドラマ「真田丸」で、人気上昇中の上田市真田。
美しい山里の背後には日本百名山である四阿山や花の百名山である根子岳がそびえ、豊かな森が広がります。
そこには、もちろんツキノワグマが棲んでいます。

パンフレット表

『真田のクマを語る集い』
このイベントでは、知られざる真田のクマについて語り、人身事故や農作物被害を起こさないための方法、地域の魅力として活用する方法をみんなで考えます。

長野大学環境ツーリズム学部准教授の高橋一秋先生による基調講演、真田町猟友会長の佐藤五郎さんと信州ツキノワグマ研究会の浜口あかりさんを交えたパネルディスカッションを予定しています。
また、ジビエ料理試食や、野生動物の骨や革を使ったクラフト体験によって、真田の森のめぐみを体で感じていただけたら、と思っております。
我らがベアドッグとのふれあい会も予定しています。

パンフレット裏

11月12日(土)の9:00~14:00。
場所は菅平高原国際リゾートセンターです。

・ツキノワグマ、野生動物
・自然環境と人間
・地域社会の持続的発展
・美味しいジビエ料理
・楽しいクラフト体験
・利口で頼もしいベアドッグ

これらのキーワードにピンと来た方、来なかった方・・・どなたの参加も大歓迎です。
少し遠いですが、是非、お越しになってください。

*このイベントは『長野県地域発元気づくり支援金』の助成を受けて実施しています。

  玉谷